法定相続人と法定相続分

配偶者
(常に相続人)

(第1順位)
父母
(第2順位)
兄弟姉妹
(第3順位)
法定相続分2分の12分の1
3分の2いない3分の1
4分の3いないいない4分の1
表1 法定相続分

代襲相続

被相続人の子が
①相続の開始前に死亡した
②相続欠格事由に該当した
③廃除された
のいづれかの該当したときは、その者の子が代襲して相続する
代襲して相続した者が、上記①~③に該当した時も、その者の子が代襲して相続する(再代襲)

被相続人の兄弟姉妹の子が
上記①~③に該当した時は、その者の子が代襲して相続する
なお、再代襲はしない。

事例1(相続開始時の胎児)

Aが死亡した当時、既にDが死亡していた。
DとEの間には、子Fと子G(胎児)がいた場合のAの相続人は?

B、C、F、Gが相続人となる。
相続について、胎児は既に生まれたものとみなされます。(民法886条1項)
よって、F及びGは代襲相続します。
(なお、胎児が死体で生まれたときは相続しません(同2項))
<法定相続分>
B 2分の1
C 4分の1
F 8分の1
G 8分の1
                               218903

事例2(第二順位の者が相続人となるケース)

Fが死亡した当時、既にA、D、Eが死亡していた。
この時のFの相続人は?

Bが相続人となる。
被相続人に子またはその代襲者がいない場合、被相続人の直系尊属(親、親がいない場合はさらにその親)が相続人となります。
                               

事例3(相続放棄したケース)

Aが死亡した後に、Dが相続放棄をした。
この時のAの相続人は?

B、Cが相続人となる。
相続放棄は初めから相続人とならなかったものとみなされ、代襲原因とはなりません。
<法定相続分>
B 2分の1
C 2分の1

事例4(被相続人と相続人が同時に死亡した代襲相続ケース)

A及びDが同乗する自動車の事故によりいずれも死亡したが、両名の死亡の前後が不明であった。
この時のAの相続人は?

B、C、F、Gが相続人となる。
数人が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は同時死亡したものと推定されます。
この場合はB,Cのほか、代襲相続が生じるためF、Gも相続人となります。
<法定相続分>
B 2分の1
C 4分の1
F 8分の1
G 8分の1

事例5(相続人が廃除された代襲相続ケース)

Aの相続に関しCが廃除された。その後CがFを養子とした。
その後Aが死亡したときの相続人は?

B、養子D、養子Fが相続人となる。
代襲相続人は、被代襲者(F)の子である限り、その子が実子であると養子であるとを問いません。
従って、Aの相続開始時において養子Fは存在しているので、Cを代襲相続します。
<法定相続分>
B 3分の1
養子D 3分の1
養子F 3分の1
                               219303

事例6(養子縁組後の代襲相続ケース)

DがGを出産した。
その後、AとDが養子縁組をした。
その後、養子Dが死亡した。
その後、Aが死亡した。
この時のAの相続人は?

B、Cが相続人となる。
AD間の養子縁組前に生まれた養子Dの子Gは、Aとの間には親族関係が生じません。
したがって、Dを代襲してGが相続人とはなりません。
(なお、AとDの養子縁組後にGが出生していれば、Gも相続人となります。)
<法定相続分>
B 2分の1
C 2分の1

事例7(兄弟姉妹の代襲相続ケース)

A、B、E、養子Fが死亡した。
その後、Cが死亡した。
この時の、Cの相続人は?

養子Dが相続人となる。
被相続人の兄弟姉妹を被代襲者(B)とする代襲相続は生じるが、
さらに代襲相続人を被代襲者(E)とする再代襲は生じません
従って、Hは相続人とはなりません。

事例8(普通養子縁組がある時の第二順位の相続ケース)

Aは、Bの実子である。
その後、Cの普通養子となった。
その後、Dの普通養子となった。(Cとは離縁していない)
その後、Aは死亡した。
この時のAの相続人は?

実親B、養親C、養親Dが相続人となる。
転縁組がなされた場合、養子は、実方、第1の養方、第2の養方との親族関係が成り立つ。
従って、Aが子なくして死亡したときは、実親B、養親C、養親Dがそれぞれ相続人となる。
<法定相続分>
実親B 3分の1
養親C 3分の1
養親D 3分の1
                                411703

事例9(特別養子縁組がある時の第二順位の相続ケース)

BC夫婦の間にAは生まれた。
その後、AはD及びEと特別養子縁組を結んだ。
その後、Aは死亡した。
この時のAの相続人は?

養父D、養母Eが相続人となる。
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了します。
<法定相続分>
養父D 2分の1
養母E 2分の1

事例10(半血兄弟姉妹のケース)

DE夫婦の間にABが生まれ、その後、Eが死亡した。
その後、DはFと再婚し、Cが生まれた。
その後、Dが死亡した。
その後、Aが死亡した。
この時のAの相続人は?

B、Cが相続人となる。
この時、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)の相続分は、双方同じくする兄弟姉妹(全血の兄弟姉妹)の相続分の2分の1となる。
<法定相続分>
B 3分の2
C 3分の1